パソナライフケア 研修コラムvol.18

「適切な洗濯方法と干し方の基本」

執筆者:日本清掃収納協会会長 大津たまみ
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今回は、「適切な洗濯方法と干し方の基本」についてお話しします。

洗濯は、簡単なようで、注意すべきポイントがたくさんある作業です。

家事代行で洗濯を行う際は、お客様の大切な衣類を傷めないために、適切な洗濯方法と干し方をきちんと押さえて作業しましょう。

1.洗濯物の仕分け

洗濯を行う前に、お客様から仕分けの指示を受けましょう。

タオル、肌着類、シャツ・ブラウス、パンツ類に分けた洗濯を希望されるケースが多いでしょう。靴下や頑固な汚れがついた衣類の仕分けを希望される場合もあります。

特にデリケートな素材や白い衣類には注意が必要です。白い衣類は色物と分けて洗うことを希望される場合があるので、お客様に確認しておきましょう。

2.洗濯表示の確認

洗濯機に入れる前に、各衣類の洗濯表示を必ず確認します。

依頼された洗濯物であっても、まずはタグをチェックして「洗濯可能か」を確認し、洗濯できる衣類はタグの洗濯指示に従って適切に洗濯しましょう。

洗濯表示には、次の5つのカテゴリーがあります。

これらのマークに、推奨される温度や強弱、クリーニングの種類などを示す記号が追加されて表示されています。

経済産業省が公開している『新しい洗濯表示』の表で確認しましょう。

出典:経済産業省(https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/household_goods/laundry_symbols.html)

この表は、洗濯の仕方だけでなく、漂白や乾燥の仕方、アイロンのかけ方、クリーニングの仕方といった内容が網羅されています。

注意が必要なのは、禁止項目を表す×印が付いている場合です。

左から、『家庭での洗濯禁止』『漂白禁止』『ドライクリーニング禁止』を意味しますので、

見逃さないようにしましょう。

3.シミ抜き

シミの種類

①水性のシミ(お茶・しょうゆ・味噌汁など)

②油性のシミ(サラダ油・ラーメンのスープ・口紅など)

③不溶性のシミ(泥汚れなど)

シミの種類に合わせた落とし方

①水性のシミ

*濡れているシミ:ティッシュや乾いた布でシミをつまむようにして汚れを吸い取りましょう。

*乾いたシミ:まずはシミ部分を水洗いします。それでも落ちない場合は、台所用洗剤を綿棒などに含ませ、シミの裏に乾いたタオルを当てて、綿棒をトントンとシミにあててタオルに汚れを移して落としましょう。

②油性のシミ

綿棒にシミ取り剤を染み込ませ、乾いた水性のシミと同様に、シミ裏にタオルをあててトントンとタオルに汚れを移しましょう。

③不溶性のシミ

泥などによる不溶性のシミは、固形物が混じっているため水にも油にも溶けません。

まずはシミを乾かしてから、汚れ(固形物)を歯ブラシなどの柔らかいブラシででかきだしましょう。次に、固形石鹸を塗り付けていきます。

注意!

■シミ抜きを行う前に衣類の見えない部分で色落ちがないか必ず確認しましょう。

■毛先の固いブラシは素材を傷めてしまうので、絶対に使わないようにしましょう。

■いずれのシミも、ゴシゴシこすらないようにしましょう。

■これらの作業をしてもシミが落ちない場合は、無理して落とそうとせず、お客様に伝えましょう。

4.洗濯機への入れ方

洗濯ネットを使用すべき衣類があるかどうかをお客様に確認しましょう。特にご指示がない場合でも、デリケートな素材の衣類は洗濯ネットに入れて洗濯するとよいでしょう。

汚れている部分(襟もと・袖口など)を外側にして畳んでからネットに入れると、汚れが落ちやすくなります。

注意!

■ポケットがある衣服は、ポケットに何か入っていないかを必ず確認して、入っていたら取り出しましょう。

■衣類を傷めないために、ファスナーが付いていたら閉め、ボタンがついている衣類はボタンをかけてから洗濯機に入れてください。

*ドラム式洗濯乾燥機の場合の注意点*

・洗濯物がドアに挟まらないように、しっかりとドラムの中に入れ込みましょう。

・薄い素材(ハンカチなど)や小さな洗濯物(下着やベビー衣類)は、ドラムの隙間に入り込む可能性があるので、洗濯ネットに入れてドラムの奥に入れましょう。

・乾燥まで一度に行うコースを選択する場合は、洗濯表示を確認して、タンブル乾燥禁止マークがついている衣類は分けておきましょう。

・洗濯機の種類によっては、デリケート素材を乾燥できる機能がついています。お客様のご指示に従いましょう。

・乾燥禁止マークがない衣類でも、特に注意が必要なのは油汚れのついた衣類です。洗濯しても油汚れが落ちていない場合がありますので、乾燥機での乾燥は避けましょう。微量の油でも熱風によって酸化して発熱し、自然発火する危険性があります。食用油やボディオイル、アロマオイルといったよく使う油でも発火事例があります。油汚れのある衣類は事前に分けて作業しましょう。

*洗濯機で洗うときのポイント*

・洗濯物の分量は、洗濯機容量の7割程度を入れましょう。

洗濯機は衣類同士をぶつけてもみ洗いする仕組みなので、容量いっぱいに入れるとうまくもみ洗いできなくなってしまいます。

・洗濯洗剤は必ず適量を入れましょう。多く入れても汚れがよく落ちるどころか、洗剤残りの原因になってしまいます。

5.干し方

干し方のポイント

■濡れた洗濯物は、乾いている洗濯物の約2倍以上の重量があります。洗濯機に入れっぱなしのままだと洗濯物自体の重みでシワがよってしまいます。脱水が終わったら素早く干しましょう。

■しっかり振ってから干す

・脱水でできたシワが伸びて繊維が整います。

・衣類の水分が落ちて乾きやすくなります。

・形が整うので乾いた後に畳みやすくなります。

・シャツの前身ごろと後ろ身ごろをはがし、袖に空気の通り道を作れます。

・タオルは広げて両手で持って、大きく5回以上バッサバッサと振ります。

これにより繊維がほぐれて立ち上がり、フワっと仕上がります。

■Tシャツなど伸びやすい素材の衣類の首元からハンガーを無理やり入れると首部分のゴムや繊維が伸びてしまいます。原則として、ハンガーは衣類の下から入れましょう。

■洗濯物は空気に触れる面が広いほど早く乾くので、間隔をあけて、両側に長い丈の物、真ん中に短い丈の物を吊るしてアーチ状にすると、風の通りが良くなります。

■裏返して干す

・色褪せを防ぐため、外で干す場合は衣類を裏返して干しましょう。

・ポケットがついている衣類は、ポケット内側をしっかり乾かすため裏返して干しましょう。

・厚手のパンツ(ジーンズなど)は裏返して筒状にしてピンチハンガーに吊るします。

■フードがついた衣類(パーカーなど)はフードと後ろ見ごろが重ならないようにして吊るすとよいでしょう。

6.洗濯機使用後の掃除

縦型洗濯機

糸くずフィルターを取り外し、溜まったゴミを取り除いて元に戻しましょう。ゴミや汚れが落ちにくいときは水洗いして、よく乾かしてから元の位置に戻してください。

 

ドラム式洗濯乾燥機

扉の内側とパッキンの水気を軽くふき取り、糸くずやゴミがあれば取り除きます。

乾燥フィルターと排水フィルターのお手入れが必要なため、それぞれのお手入れ法を説明します。

 

【乾燥フィルターのお手入れ】

乾燥で衣類の糸くず等が付着するため、毎回お手入れが必要です。

①乾燥フィルターは通常、乾燥機のドアやドラムの近くにあります。機種によってフィルターの取り出し方が異なる場合があるので、お客様に確認しておきましょう。

② フィルターを外し、ブラシや手でゴミを取り除きます。フィルターが洗浄可能な場合は、水で洗浄して乾かします。フィルターを破らないように力加減に気をつけましょう。

③洗濯機本体の乾燥フィルターをセットする部分を確認して、汚れていたら掃除します。

ホコリ等の乾燥した汚れはティッシュで拭き取り、残った細かいゴミや汚れは濡らしたクロスで拭き取ります。このとき、水をかけて汚れを流さないようにください。

④フィルターを完全に乾燥させてから元の位置に戻します。

 

【排水フィルターのお手入れ】

排水フィルターは、週1回程度のお手入れが必要です。排水時に出たゴミがたまると目詰

まりの原因になるので、汚れていたらお手入れしましょう。

①洗濯機の電源を切る。

②排水フィルターは洗濯機の底部にあります。取り外す際に水が漏れる場合があるので、クロスや洗面器などを用意して漏れた水を受ける準備をしてから、フィルターカバーを外して取り出します。

③柔らかいブラシを使って、フィルターの詰まりや汚れを取り除きます。

④本体のセットする部分を確認して、ゴミや汚れがあったら取り除きます。

⑤フィルターを元の位置に戻し、カバーを取り付けます。

 

排水フィルターが緩んでいると運転できないため、しっかり取り付けましょう。

お客様に気持ちよく清潔になった衣類を手にしていただけるように作業しましょう!

次回のコラムもお楽しみに♪