パソナライフケア 研修コラムvol.10

「掃除に役立つ知識『汚れのレベルと4要素』」

執筆者:日本清掃収納協会会長 大津たまみ
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今回は、掃除に役立つ知識『汚れのレベルと4要素』についてお話しします。

これまで様々な掃除法や洗剤について説明してきましたが、いざ現場で汚れを目にすると、「どの洗剤を使えばよいか?」や「そもそも洗剤を使った方が良いのか?」など悩むことはありませんか?

そんなときのために、掃除のプロが用いる「汚れのレベルの判断」や「汚れを落とす4要素の組み合わせ」を覚えておきましょう!基礎知識を持つことでお掃除がよりラクになりますよ♪

汚れのレベルと掃除法

洗剤を使用するかどうか迷ったときは、見た目や感触で汚れのレベルを判断してみましょう。

レベル1 ふわふわした汚れ

ホコリなどふわふわした汚れは洗剤を使う必要はありません。洗剤を使用するとホコリ汚れがドロ汚れになってしまい、掃除の手間が増えます。この汚れが多い場所としては、棚や窓が挙げられます。ふわふわした汚れの場合は乾いたモップやクロス、ドライシートで掃除しましょう。

レベル2 ペターとした汚れ

水分を含んだ汚れは水拭きするだけでキレイになります。それでもキレイにならない場合は洗剤を使いましょう。この汚れが多い場所としては、テーブルや洗面所周りが挙げられます。

レベル3 ベトーとした汚れ

油を含んだ汚れが時間とともに粘着化すると、水拭きではなかなか落ちません。洗剤を使用して落としましょう。この汚れが多い場所としては、ガステーブルやIHコンロ、魚焼きグリルが挙げられます。

レベル4 ねっとりとした汚れ

汚れがこびりついた状態になったら弱い洗剤では落とせません。酸性やアルカリ性のpH(ペーハー)※1が高い洗剤を使用しましょう。

※1 pHは0~14まであり、pH=7付近が「中性」、それより値が小さくなるほど「酸性」が強く、値が大きくなるほど「アルカリ性」が強くなります。pH8~pH11以下は「弱アルカリ性」、pH11を超えると「アルカリ性」になります。

汚れが素材に入り込んでいたら、漂白剤や研磨剤を使って汚れを浮かせて除去しましょう。この汚れが多い場所としては、ガステーブルや魚焼きグリルが挙げられます。

レベル5 ガビガビとした汚れ

素材に固着した汚れは掃除のプロでも落とすのに苦戦します。洗剤を使っても落ちない場合もあります。

家事代行の作業で落とそうとすると、洗剤を大量に使って時間をかけてもキレイにすることは難しいかもしれません。お客様から「キレイにして欲しい」と依頼されたら、ハウスクリーニングを提案してみましょう。パソナライフケアでは、ハウスクリーニングの部門もあります。お客様からご希望があれば、担当プランナーに連絡しましょう。この汚れが多い場所としては、換気扇まわりが挙げられます。

汚れを落とす4要素の組み合わせ

お掃除のプロは、「洗剤の濃度」「時間」「物理力」「温度」の要素をうまく組み合わせて汚れを落とします。これら4つの要素の割合を変えることで、掃除がラクにも大変にもなります。家事代行の仕事でもうまく活用して効率的な掃除を目指しましょう。

「洗剤の濃度」「時間」「物理力」「温度」の4要素を図にすると上記の図のようになります。

「物理力」は、物理的な力で汚れを落とすことを指します。例えばゴシゴシ力を入れてこすり洗いをするのは「物理力」の割合が多いということです。

これらの4要素を具体的に掃除に取り入れる方法を説明します。

例えばひどい汚れがある場合、力を入れてこすり洗いをするのは大変であり、濃度が高い洗剤を使うと素材や手肌を痛める可能性があります。では、力任せに強い洗剤を使わずにこの汚れを落とすにはどうすればよいでしょうか?

要素で言えば、「物理力」と「洗剤濃度」を減らしたいので、上記の図のように「時間」を長くし、「温度」を高くすると、汚れを落しやすくなります。

市販の洗剤もこれらの4つの要素が組み込まれています。

例えば、食器用洗剤に泡状の製品が増えていますよね。多くの人が何気なく使用していると思いますが、4要素で考えると泡状になっているメリットを理解できますよ。

液体洗剤だと、汚れにつけてもすぐに流れてしまいますが、泡だと汚れの上にとどまります。洗剤の濃度を保ちながら汚れの上に長くとどまる泡状洗剤は、「洗剤濃度」と「時間」の割合が多くなるので、「物理力」と「温度」の割合を減らせるのです。                                                                       

つまり、洗剤の濃度が高くなくても、力をいれずに汚れを落としやすいのが泡状洗剤のメリットといえます。

台所では油汚れが多く発生しますが、泡状洗剤を使うことで、泡がフタの役割を果たし、一定時間置くことで汚れと馴染んで落ちやすくなります。

また、「温度」の割合を増やした掃除法は、油汚れがついている五徳などに有効です。

高温のお湯に一定時間浸けておくことで、ゴシゴシこすり洗いする「物理力」を減らして汚れを落としやすくなります。

掃除が『大変』『疲れる』と思うときは「物理力」の割合を減らし、『洗剤で手が荒れる』という場合は「洗剤濃度」を減らして、「時間」と「温度」を上手に活用して掃除してみてくださいね。

以上の方法を用いて、適切な「汚れレベル」判断をし、うまく4要素を組み合わせて、効率的かつ手間を減らした掃除を行いましょう!

次回のコラムでは「キッチンの掃除手順と掃除法」について詳しく説明していきます。