パソナライフケア 研修コラムvol.25

ナチュラル洗剤を使用した掃除法①[重曹・セスキ炭酸ソーダ]

執筆者:日本清掃収納協会会長 大津たまみ
過去のコラムは下記ボタンよりご確認いただけます👇

皆さまこんにちは!日本清掃収納協会の大津たまみです。

少しの間お休みしておりましたが、25回目からのコラムでは、家事代行研修の応用編に焦点を当てた内容をお届けします。

皆さんが家事代行スタッフとしてさらにスキルを磨くための情報を提供していきますので、どうぞよろしくお願いします。

今回は、重曹・セスキ炭酸ソーダの特性と使用法についてお話しします。

家事代行での清掃作業は、お客様のお宅に置いてある洗剤を使用させていただきます。

手肌に優しいナチュラル洗剤をお使いのお客様もいらっしゃいますので、ナチュラル洗剤の特性や使い方の知識を身につけていきましょう。

今回のコラムでは、一般的に利用されている重曹に加えて、より汚れ落としに効果的なセスキ炭酸ソーダの特性と使用法もお伝えします。

■重曹(ベーキングソーダ)

3つの特性

①弱アルカリ性 

重曹は弱アルカリ性です。キッチンの油汚れや手垢などの軽い酸性汚れを落とします。

②吸湿性

湿気を吸収する性質を持つため、湿気によるカビや臭いの発生を抑制します。

③研磨作用

微細な粒子を含むため、研磨作用があります。これにより、表面の汚れやシミを効果的に除去できます。

注意!

弱アルカリ性の重曹は、一部の素材には使えないため注意が必要です。

重曹を使用してはいけない素材

・大理石は、アルカリ性や酸性の洗剤を使えない素材ですが、重曹を使うとさらに研磨作用で表面を傷つけてしまいます。液性と研磨作用、どちらの面でも大理石に重曹は使えないことを覚えておきましょう。

・アルミ・銅・真鍮(しんちゅう)・漆器は、重曹との化学反応により黒ずんでしまうことがあります。

・自然木は重曹によって黄ばむ可能性があるため、木製製品やウッドデッキなどには使用しないでください。

・畳は重曹を使用すると、イ草の繊維が変色することがあります。SNSなどで重曹を使った畳掃除法が紹介されていますが、絶対に使わないでください。

用途例

・キッチンの油汚れ掃除

・お風呂や床、ドアノブなどの皮脂汚れ掃除

使用方法

・粉末のまま使用

重曹は粉末の状態で使用すると研磨剤になります。

直接スポンジにつけて茶渋やヌメリ汚れを落とします。

・つけ置きに使用

[つけ置き手順]

①洗い桶などに、45~50℃のお湯を貼り、重曹を溶かす。

(分量目安:お湯10リットルに対し重曹カップ1)

②油汚れが気になる物を30分程つけ置きする。

③汚れが緩んだら、ブラシなどで汚れを落として洗い流す。

④クロスで水分を拭き取る。

・希釈して使用

重曹を水で希釈してスプレーボトルに入れて使用します。

お湯で希釈すると、さらに汚れ落ちがよくなります。

お湯(温度)を利用するメリットは、過去のコラムも併せてご覧ください

パソナライフケア 研修コラムvol.11 「掃除に役立つ知識『汚れのレベルと4要素』」 – パソナライフケア 研修コラム (pasona-lc.co.jp)

[ホット重曹スプレーの作り方]

42℃程度のお湯100mlに小さじ1の重曹を溶かし、スプレーボトルに入れて使用します。(希釈方法はパッケージの説明も確認しましょう)

※お湯の適温を42℃としているのは、お客様宅で給湯器の温度設定を変える場合、42℃より高温で設定すると、万が一温度設定を戻し忘れるとお客様が火傷する危険性があるためです。

[ホット重曹スプレーの使用手順]

①油汚れに、ホット重曹スプレーを直接吹きかけます。

汚れがひどい場合は、噴霧して数分間放置すると、油汚れが浮いて汚れが落ちやすくなります。

②汚れが落ちたら、水拭きします。

③仕上げに乾いたクロスで表面を拭き、水滴を取り除きます。

■セスキ炭酸ソーダ

重曹との違い

・重曹と同じアルカリ性の洗剤ですが、重曹よりもpHレベルが高く、強力な洗浄力を持っているため、より頑固な油汚れや汚れに対して効果的です。

・水に溶けやすく、重曹のような研磨性はありません。

セスキ炭酸ソーダを使用してはいけない素材

重曹を使用できない素材には使用しないようにしましょう。

特に、ワックスが塗られているフローリングは使用しないでください。

セスキ炭酸ソーダはアルカリ度が高いため、ワックスを剥がしてしまいます。

用途例

・コンロ周りの油汚れ掃除

・キッチン台にこびりついた汚れ掃除

・シンク回りや三角コーナーのヌメリ掃除

・重曹では落ちにくい鍋ややかんのコゲ取り

※塗料が塗ってある鍋は塗料が剥がれる危険があります。事前に目立たない所で試してください。

使用方法

水に溶けやすい性質を生かし、希釈してスプレーボトルに入れて使用しましょう。

[ホットセスキ炭酸ソーダスプレーの作り方]

42℃程度のお湯100mlに小さじ2分の1のセスキ炭酸ソーダを溶かし、

スプレーボトルに入れて使用します。(希釈方法はパッケージも確認してください)

[ホットセスキ炭酸ソーダスプレーの使用手順]

ホット重曹スプレーと同じ手順で使用しましょう。

注意!

・希釈して使用する場合は、水が腐る可能性がありますので、必要な分だけ作りましょう。

・ナチュラル洗剤を使用する際は、適切な濃度で必要な分だけ調合してください。濃度が高すぎると水に溶け切らずにスプレーが詰まったり、掃除後に成分が残って素材を傷めたり肌への刺激を引き起こす可能性があります。

・肌荒れしやすい人は、ゴム手袋を着用して作業しましょう。

お客様の中には、ナチュラル洗剤を使用した掃除を望まれる方もいらっしゃいます。

ナチュラル洗剤は掃除用洗剤と比較して、汚れが落ちにくかったり、汚れが落ちる速度が緩やかだったりする場合がありますので、その点を考慮して使用しましょう。

今回のコラムを通じて、ナチュラル洗剤も効果的に活用できるようにしていきましょうね。

次回のコラムもお楽しみに・・・!!