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パソナライフケアの仕事と介護の両立支援ブログ

in Action

父の他界(第五話)

2020年7月16日

こんにちは、ケアボスです。

父に行ったひとつの提案
12月30日に父の施設に訪問した際「年末年始たとえ1日だけでも自宅に戻るか?」と提案しようと考えていました。しかし転倒しあばら骨にひびが入った状態だったので現実的には難しいだろうとも考えていました。
そして「おやじ?あばら骨にひびが入ったそうだね。年末年始に自宅に連れて行こうと思っていたけどさすがに痛むだろうし難しいよね?」と聞いてみたところ「痛くない。家に帰りたい・・・」と即答したのでした。
その提案を思いついたのは、大みそかに紅白歌合戦を見せてあげて、そして元旦に母の作ったお雑煮やおせち料理を食べさせてあげたい。毎年おこなってきた恒例行事を今年も感じさせてあげたい。その一心でした。また、施設のレクレーションで作った絵馬が廊下に飾ってあり、そこには「元気になりたい」と書かれていて胸の締めつけられる思いをしました。そんなこともあり、たった1日だけでも一時帰宅を実現させてあげたいと思ったのです。


(施設で作った絵馬)

 

大みそかになりました
12月31日、一時帰宅をする父を迎えに施設まで行きました。介護タクシーを手配し、いざ出発!とても嬉しそうな表情を浮かべていました。父にとって自宅は最高に落ち着ける場所です。そして自宅に到着。玄関先に段差がありますので、介護タクシーの運転手の方にご協力いただき無事に父を自宅内へと連れて入ることが出来ました。そしていつもの定位置に着座。


(介護タクシー内の様子)


(天井を見上げる父)

楽しみにしていた晩酌の時間では、大好きなお肉と少々のワインを口にして、紅白歌合戦を見ながら家族で楽しいひと時を過ごしました。


(自宅での最後の晩酌)

 

トイレ介助
自宅で過ごすのに一番心配していたことは、足が動かない中でどうやってトイレに連れていくかということです。尿を取るためのパッドを使いながら、そして数回は私が前から向き合い抱き合わせの姿勢でゆっくりと連れて行きましたが、その介助は相当困難なものでした。
父は腰が90°に曲がっているため体を密着させる姿勢が取れません。脇の下から上方向に力を入れ若干体を浮かせるようにすればわずかに歩を前に出すことが出来ましたが、相当無理な姿勢を長時間取らないといけないため、父はもちろんのこと介助者である私が腰を痛めてしまいそうでした。あれだけ楽しみにしていた自宅への一時帰宅でしたが、父も一泊が限界だと感じているようでした

 

令和2年元旦
トイレには苦労をしましたが、無事に令和2年元旦を家族で迎えることが出来ました。誰ともなく2泊は難しいと共通して感じていましたので、楽しみにしていたおせち料理とお雑煮を食べ、少しゆっくりしてから介護タクシーを呼び施設に戻ることにしました。

父が他界した今、結果的には生涯最後の自宅でのお正月だったわけですが、無理をしてでも実現させてあげてよかったなと感じています。
『親孝行したいときに親はなし』と言われますが、できる時にできるだけ自身の時間を親に差し出し、恩返しをしておきたいものです


(令和2年元旦)