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パソナライフケアの仕事と介護の両立支援ブログ

in Action

「カラスの声がした」

2017年2月9日

義母の急逝

前回のブログからわずか1週間後の2017年2月7日深夜、誠に残念ながら義母が帰らぬ人となりました。
関西から千葉の病院に転院後は容態は安定し、しっかりと目を見て話ができていました。これからは家族のそばでゆっくりと回復に向け一緒に頑張っていこう!そんな矢先でした。
亡くなる前日の夕刻、ケアボスの長男が義母を見舞い一緒にアイスクリームを食べながら談笑したのが家族と会った最後になりました。
前回タイトル「介護ができるシアワセ」の実行は結局できぬままとなりましたが、苦しむことなく逝ったことが唯一本人のためにはよかったと思うようにします。しかし満79歳、もっと長生きして欲しかったです。

高齢者はちょっとしたきっかけで突然不幸がやってくることを実感しました。
義母の場合は、昨年11月「こたつの板」を持つ際に腰を圧迫骨折、リハビリで順調な回復をしている時にインフルエンザに院内感染、その後に肺炎。
ベッドで天井を見続ける毎日は80を前にした高齢者に精神的、肉体的なダメージを一気に与えたのだと思います。
「こたつの板」さえそのとき持っていなければこのようなことにはならなかったと思うと悔しくてなりません。

 

「歩く」ということ

義母の寝たきりになってからの体力の低下を目の当たりにして、自分の力で歩くことの重要性を改めて感じました。
たとえ歩くことが困難になっても上体を起こすことができれば車いすを使った移動ができ、様々な環境にふれあえます。

高齢者が不幸にも骨折などの事故で一時歩けなくなっても、リハビリによって歩く機能を取り戻すことを私たちのような介護事業者はもちろんのこと周りの人がサポートして差し上げることはとても大切なことだと思います。落ち込んでいるであろうご本人を励ますことと合わせて。

義母の様に骨折に加え他の病気を併発してしまった場合は、歩く機能を回復させるには相当な時間を要するでしょうし、上体を起こすことすら難しいケースの対応は困難を極めると思いますが、最後まであきらめることなく、ご本人、ご家族とも「歩く」ことに執着していただき、健康の維持に努めていただきたいと切に願います。

 

女性の髪

転院した後の義母が、髪の毛を触りながら「髪も切れていないし染めることもできていない。恥ずかしいわ」とケアボスに言っていたのが印象的です。
入院生活の間に伸びた生え際から5センチほどが真っ白でした。
義母が何となく発した言葉でありケアボスに要求したことではないですが、この身近な欲求を叶えてあげたいとその時強く思いました。
年齢に関係なく女性にとって「髪」は特別なものなのですね。

自力で美容院に行くことが困難な方でも、今では自宅や施設に美容師が来てくれ、カット、毛染め、パーマなど細かいニーズに対応してくれる訪問理美容サービスがありますのでそれを上手に活用して、心を満たしてあげて欲しいと思います。
息を引き取った際、本人の望んだカットと毛染めができていないままの髪を見て、叶えてやれなかったことが無念でなりませんでした。

 

命っていったいなんだろう

命を引き取る場面に立ち会い、命がなくなっても身体という物体が目の前に存在していることを不思議に感じました。
ある身体を通じて命は人間活動をしているだけで、命が身体から出て行ったことを人々は死と呼び、たとえ荼毘に付されても、とっくに遊離している手に取ることのできない命は永遠にこの世に存在し続けるのではないかと。
そんなことを感じながら病院の外に出ると夜があける時間になっていました。空には、命が抜けだした義母を悲しむかのように、カラスが何羽か大きな声を出して泣いていました。

週末に通夜と告別式があります。
義母 故 坂本京子様との長きにわたる思い出に感謝しつつ、しっかりとお別れをしてこようと思います。