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パソナライフケアの仕事と介護の両立支援ブログ

in Action

おにぎり

2016年7月29日

こんにちは。ケアボスです。
第98回全国高等学校野球選手権大会、各地区において代表校が続々と決定していますね。
甲子園出場を決められた球児のみなさん、本当におめでとうございます。
千葉県は木更津総合高校が3対2で市立船橋高校を下し春夏連続の甲子園出場を決めました。市立船橋高校の先発したピッチャーが次男の中学時代のリトルシニアのチームメイトで、なおかつキャッチャーは次男の親友ということもあり声を枯らして応援しました。
残念でしたがここまでくると勝ち負けはたまたまの結果に過ぎず、これまでの努力に価値があるのだと改めて思いました。

私の母は83歳の高齢者ですが、これまで大病をすることもなく現在も私の故郷で元気に自立した生活を送っています。
実家が甲子園球場から近いこともあり、高校野球好きの私は例年、甲子園大会開会式前夜から実家で何連泊かさせてもらい甲子園まで観戦に行っております。
母は、私が小さいころは力も強く、私が悪いことをするとほうきの柄の部分でビシビシ叩かれました。
その頃のたくましい母の姿を思い出しては、現在元気とはいうものの、からだが随分細く小さくなったなあと思うことがよくあります。

2(第97回大会。バックネット裏の定位置から観戦。)

母は、甲子園観戦に向う私に手作りの弁当を持たせてくれるのが毎年の恒例になっています。
母は元々おにぎりを握るのが上手で、溢れんばかりのパワーで固いおにぎりを作ってくれたものです。
しかし、一昨年母が81歳の時に持たせてくれた弁当に異変を感じたことがありました。箸でおにぎりを掴んで口に入れようとした時、おにぎりが崩れて、お米がポロっと落ちてしまったのです。
握力が段々落ちてきたのでしょう。握り方が弱くなっていたのでした。
受け入れがたかった母の高齢化を現実のものとして受け止めた瞬間でもありました。
かつて母は「あんたにしてもらう肩もみ。その力が年々あがっていくことにあんたの成長を感じていた」と言いました。
まさにその逆のことを感じたのです。

このおにぎりの件、母に言って励ました方が良いか、言うと傷つけることになってしまうのか、観戦しながらあれこれ考えましたが、元々負けず嫌いの母なので、私は「言って負けず嫌いの心に着火する」選択をしました。
そして千葉に戻る日に母に言ったのです。

「おにぎりの握りが弱くなっていてお米がこぼれたよ。もっと固いおにぎり作った方がいいな。握力、落ちたんじゃないの?」と。
すると案の定、強気の母は「そんなことはない。握力も落ちていない。鞄の中の置き方が悪かったからおにぎりの形が崩れただけだ」と。
それを聞いて作戦大成功!と思いました。
きっと来年こそは固いおにぎりを作って息子を満足させるぞ!と小さいけれど達成可能な目標が設定されたのではないか。
新たなモチベーションに繋がったのではないかと。

無事、昨夏は一昨年よりも固いおにぎりを持たせてもらうことが出来ました。

3(母の昨年のリベンジ弁当。一昨年より固く握ってくれました。)

高齢者は頼りにされることが少しずつ減るため、私たちからたとえ小さなことでも頼ってお願いするってことは大切ではないかと思います。
ただ、身体の特徴や性格をわかったうえで行わないと、逆効果になることも考えられますので日頃からコミュニケーションを取り、高齢者の対処できる範囲のことを、思い切ってお願いしてみるってのも良いのではないでしょうか。

再来週、今夏の弁当を楽しみにしているケアボスでした。

care-